京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

生と死と

 荒神口付近。イエスさんの誕生を祝ってお星が光る。

 町内にあったお医者さんのお嬢さんが亡くなったと連絡があった。お嬢さんとはいえ、彼女はわたくしの両親と同世代なので、今は十分におばあちゃんと呼ばれる年代だが、生まれた時から障がいをもっていたこともあってほとんど家から出た事がなく、まさに深窓のご令嬢のまま天に還られた。わたくしが子どもの頃、洟をたらして先生に診てもらいにいくと、必ず帰りぎわには玄関先に送って出てきてくれる。聾唖の人ゆえか、大きな瞳で真っ直ぐに目を見て、お大事に、の代わりに「んー」と小さな声を出して頭を下げてくれる。いつもお下げ髪を結っておられて、色白で、彫りの深い外国人のような顔立ちで、最近の美人とは次元が違う雰囲気をもった超美人だった。話さないし、笑顔もつくらない、でもその清冽なたたずまいが強烈に記憶に残っている女性。わたくしの抱く大天使のイメージは彼女の有り様から湧いている。