京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

ノスタルジア

 そう、時々懐かしく思い出すのは、たいていが、観光地を巡ったことではなくて、特に目的も荷物も持たずに、ただほっつき歩いた時のことだ。小さな神社の裏山に迷い込んで、思いがけずそこに流れていた貧相な滝の水しぶきと冷気とか、若干酔っ払って座り込んだ御所の暗闇とか、葵橋から眺めた賀茂川べりの満開の桜並木とか、ふと触れた手の甲の冷たさとか。その時々の色や香りや音や温度や感触をともなって、まざまざと浮かび上がってくる。生まれてこの方、一度も京都を離れたことはないが、これも郷愁というのかしら?