京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

マスクの効用

 思い返してみると、マスクをかけるのは小学校の給食当番の時以来かもしれない。ここ数十年はウィルス感染する病気に罹らなかったし、確たる根拠は無いが自分の免疫力を信用していたので、うつる不安も抱かず、マスクは邪魔でわたくしには似合わない、頬が肌荒れする等々と思い込み、かけたことがなかった。だが年明けの三日間程だけ、咳が出ている時に人と会う必要もあったことから、なぜかウチの押し入れにあった紺色のマスクをかけてみた。これが思いの外、保温と保湿に優れていてよかった。マスクをかけていると、川べりを歩いても冷たい風が鼻の穴に入ってこず、乾燥もしない。むしろ鼻の下が汗ばむほどである。それに何より鼻水が垂れていても他人目からは見えないので、垂れ流しておけるのが、特に両手がふさがっている時には好都合だった。それに咳が出る度にいちいちハンカチや手で口元を押えなくてもよく、咳し放題。また紺色のマスクは、昔の暴走族を思い起こさせるのか、誰も近寄ってこない。誰とも目も合わせず、しっかりと自分の殻にとじこもって安息を得ることができる。