ニオウ本
湿度が高いからか、ニオイが気になる。
いや、イメージから過敏になっているのかもしれない。
実は、府立図書館で借りてきた、森見登美彦著
『【新釈】走れメロス 他四篇』の本自身から、えもいわれぬニオイが、エアコンの風の動向に合わせて漂ってくる。
古本とか加齢臭とか腐臭とか、古い系のニオイとは、違う。
どちらかというと、新しい系のモノが放つ、水分と油分とほこりやらなんやらが混ざった、ニオイ。
経験からいうと、昔の学生の下宿の万年床(センベイ布団)とか、洗濯せずに1年くらい穿きっ放しの学生ズボンやGパンとか、長年、部室の隅に放置されていたタオルやジャージのかたまり、などから漏れ漂うニオイである。
抗菌除菌、無味無臭がよしとされている最近では、とんと嗅ぐ機会がなくなったニオイである。
・・・懐かしい・・などとセンチメンタルな気分に浸りづらいような、ニオイである。
大きな声では言えないが、はっきり言うと、クサイ。
しかし、ここから声を大きくして言わなければならないのだが、小説の内容は、京都で学生時代を過ごした人にとっては、若き日の苦悩と喜びが、市内各地の風景と、まさにニオイを伴って、ありありと想起されて、やっぱり多少センチメンタルな気分になり、とても痛気持ちいいです。
2009/7/10以前の記事はこちらへ