京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

 ナンパな思い出

 最近は草食系男子が流行っているそうなので滅多にお目にかからないらしいが、二昔前はナンパ(今ならさしずめ肉食系?)もごく日常的な出来事であった。
 __鴨川の土手に座って本を読んでいると、背後から「ちょっと話してもええかなぁ?」と気軽に声をかけてくる。「今、本読んでるし、アカン」と拒絶反応を示しても、「へぇ?何の本?」とかうまいこと言って、どっかりと隣に座り込む見ず知らずの男子。「で、ナンの話?」とうっかり水を向けると、「ん、この間、フラれてな、、、、」と彼女と自分の言動まで事細かく再現して延々と話すのである。要は失恋話を誰かに話して、自分の気持ちの整理をしたかっただけ、なのである。ひとしきり話すと誰かと約束でもあるのか、「ありがと!ほな、バイバーイ!」だとさッ!風呂上がりのような、排泄後のような、妙にさっぱりした顔でッ!笑かすやっちゃなッ!
 しかし今にして思うと、この手の現実の経験の一つ一つが「清く正直に美しく」とか「いつでもどこでも誰とでも(もしくは一人で)タダ(安価)で」などのわたくしの生きる指針の土台になっているような気がする。こっち(わたくし)のほうが、ありがと!と言いたい。