京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

落とし物1

 大切な笛を落としたと言うと、こみっちゃんらしくない、とたまに言われるが、本人に言わせると、たまーにあることである。
 これまでの落し物の中で最も印象深いのは、京阪電車の中に全財産の入ったポシェットを忘れたこと。いつもは危機管理として、カバンの類は身体から離さないよう斜めがけにしているのだが、あの時はたまたま車内が暖房で暑く、コートの外側に掛けていたカバンをカーテン掛けに掛けて、コートを脱いでそのままになっていたのだ。
 電車を降りてポシェットが無いと気づいた時には気が動転し、どこで無くしたかなんてことはさっぱり思い出せない。とにかく無い、無いとその辺を無意味に歩き回ったのだが、やっとのことで改札で切符代金を借りることを思いつき、真っ青&半泣きになって、大阪の友人宅へたどり着いた。そこへ妹から電話で(当時は携帯電話は無く、友人宅の固定電話へ)「おねぇちゃん、電車にカバン忘れたやろ!京阪から電話があって預かってくれてはるで〜」との知らせがあった。ヘナヘナ〜と腰抜けたし。
 それにしても世の中には親切な人がいるもんだと思って、どこの誰かは明かさずに、そっくりそのまま京阪電車に預けてくださったその救い主の人生に幸多かれと心から念じたものだ。