京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

たたき上げ

 子どもの頃から門前の小僧で演っていたり、大人になってから始めた人でも、先輩の生演奏をひたすら聞くことと指使いを見ることで覚えた、いわゆるたたき上げの人の演舞は、ものすご、かっこええ。音や動作、そして音と音の間や動作の途中に、独特のマとかタメがあるのだ。いや、単にマとかタメという単語では説明できないような、何か。空間?時間?力?とにかく目に見えない何か。もしかしたら余分に有る、のではなくて、余計なものが無い、のか。背恰好は似たようなずんぐりむっくり型の人間で、着ているものも他人とたいして変わりない、ステテコにシャツ程度やし、まして本番で着る浴衣は揃いのものだ。なのに、別の生き物であるかのように、わたくしの目には映る。