京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

祇園後祭り宵山

 190年前の大雨以来休み山だった鷹山が、今年190年ぶりにお囃子を復興して後祭りの宵山で披露された。もの凄い勢いが伝わってくる笛鉦太鼓の音が、三条通りに響き渡る。小学校にいくかいかないか位の男の子たちも、鉦方で堂々と囃子ている。鷹山は保存会が設立されたばかりだが、200年ぶりとなる10年後には山鉾巡行に参加することが目標だそうだ。こうして10年単位、100年単位、何世代にも渡ってじわじわと事を運んでいく所に、京都人のねちーっとした底力と心意気を感じる。

  そして四条通りを下がり、これまた焼失以来150年ぶりに、昨年復興された大船鉾を下から見上げる。白木が瑞々しい。ここもお囃子が鳴り響いている。船尾の懸装品、後懸けもまだまだ新品の初々しい様子。ようこんだけのことしはるなぁ。見惚れるワ。こちらは、明治の頃に尋常小学校を建てるためか何かで売って以来、失くなっていた会所も、今年お町内の町家の持ち主からお申し出があって、昔の会所のはす向かいに設けられるそうだ。世話のかかる古いもんは壊して新しいもん建てて、てっとり早く儲かったらええワというような経済活動が当然のようになっている昨今、なんとカッコええ、何代にも渡る再利用、経済のまわし方だろうか。

 提灯飾りをみて歩くのも面白い。山鉾だけでなくて、お町内各戸の玄関先の外灯にもなっている。
 ほの暗い中、遠音で聴く祇園囃子に酔いしれ、時空の境界が曖昧になってほっつき歩いた一夜。


京都新聞 巡行の様子などの動画も観られます。