京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

八丁平


 何を思ったか、実に30年ぶりに北山・八丁平へ。
 記憶の中では、背丈ほどもある竹笹のブッシュをかき分けかき分け進んだのだが、ところがどっこい、様子が激変していた。数年前に一旦枯れ(30年から50年周期で枯れる笹)、すぐに出た新芽を鹿が食べ尽くしてしまったそうで、見通しのよいこと。研究・保護のために鹿が入らないように囲いをしている部分には、まだ数種類の植生があるが、その他の場所には、鹿が食べないシダ類がかろうじて地面をはっている程度。諸行無常をひしひしと感じた。実際、祇園祭ちまき笹は、大昔からここの笹を使っていたそうだが、食害に遭って以来、他所から買ったり輸入しているそうだ。
 一方30年前と変わらないのは、登山口にあるぼっとん便所とわたくしの軟弱な三半規管。クネクネガタガタの林道をバスで一時間、久しぶりにゲェ吐いたワ。おまけに大きく口を開けた和式ぼっとん便所を使うのも超久しぶりで、しゃがんで下を向いていると車酔いからめまいがしてくる。あやうく、自分自身がぼっとん、とはまりそうになるのをこらえるのに、必死のぱっちだった。そんなこんなで歩く前から疲れたが、山の中を歩き出すと不思議と体調が整ってくる。鳥のなき声が辺りに響く。空気が清冽だ。