早朝から浜辺を散歩する。さすがは、散歩部部長である。
短パンにノースリーブ、裸足になって、波打ち際をどこまでも進む。
顔を上げて、彼方の水平線を見る。深呼吸をする。
昇ってくる太陽の強い光が、左の頬を焦がす。
冷んやりした浜風が、灼けた首筋を撫でる。
往復約1時間。こんなに長く砂浜を歩いたのは、生まれて初めてだ。
足の裏やふくらはぎを、海水が洗ってくれる。
サラサラの砂にくるぶしまで埋もれる感触。
海水で固まった砂や小さな石のつぶてが足の裏をマッサージしてくれる。
渇望するかのように、全身に、この海辺でもらった力をたたき込んだ。
きっと、生涯、忘れない。忘れたくない。