京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

 牛乳とわたくし

 小学校低学年の頃は、給食が苦手だった。特にその量がわたくしにとっては多すぎた。牛乳一本(当時はガラスビン、180mlか?)で、おなかいっぱいになるのである。おまけにその牛乳の味や匂いがこれまた苦手。うっかりと口の中でパンと牛乳が混ざってしまった時には、その食感に悩まされる。さらには給食当番で牛乳係りになると、超重い。空になった牛乳ビンはニオウ。また牛乳をこぼして拭いた後の雑巾は、後々まで腐臭を放つ。
 ・・・とまぁ、牛乳を目のカタキにしていたわけだが、一方で「牛乳大好き!」という人がうらやましくもあった。とにかく骨ががっしりしていて、元気いっぱい、健康的に見えた。おかわりまでして、スゴ〜イ!と羨望のまなざしで見ていた。そして牛乳が苦手、ということにある種の罪悪感を長年抱いていた。好き嫌いするのは悪いことや、と。しかし『乳がんと牛乳』という訳本を読んで、その罪悪感のようなものがすっと消滅した。
 自分自身に対する評価が、栄養満点の牛乳が飲めない、好き嫌いのあるひ弱な子から、自分にとって必要な栄養を身体で選別することができる身体感覚の優れた子へと、180度ひっくり返った。認知療法を受けたような感じだ。おかげで自分自身の体感に正直に飲み物を選べるようになった。ありがたし。