京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

 長唄の演奏

 何を思ったか、発表会で演奏する曲に長唄(歌舞伎の踊りの伴奏曲)を選んでしまった。実は少々後悔している・・・。
 中高生の頃は、学校サボって顔見世に行くほど歌舞伎が好きだった。どこが良かったのか今から考えてみると、衣装と所作が美しいということに限られるように思う。決してストーリーを理解して、それが好きだったということではなかったように思う。それが証拠に、上演中、ぐっすり眠っていたこと多し・・・。
 今回、長唄を演奏するにあたり、その演目のストーリーを今一度読み直してみたら、思った以上にドロドロした女の情念丸出しで、愕然としてしまった。物語のその女(清姫)は大蛇に化けて、男(安珍)を追いかけまわし、ビビッて釣鐘の中に隠れた男を釣鐘ごと自らの身体でぐるぐる巻きにして焼き殺すのだ(『京鹿子娘道城寺』)。つまり、焼身無理心中するのだ。現代のストーカー以上の粘着質だ。大人になってからは「縁は10秒で切ることができる」と考えているわたくしには、到底表現できそうにもない心情だ。そんなことで、自分で選んだ発表曲ではあるのだが、イマイチ心を込めて演奏できそうにない。