京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

 古きよき物

 断捨離の最中、古きよき物を発見する。
 例えば、昔の木製ハンガー。
 多分祖父がスーツか何かを誂えた時に頂いたものだと思われる。
 真ん中には商店名と電話番号が書かれていて、これは宣伝のためというよりも、お直しや不具合があったらすぐに連絡ください、という意味なのだろう。
 ハンガー自体のカサも高いし重いし、第一この商店は確かとうの昔に廃業されている。今わたくしが着ているペラペラのコートには不向きで、他に使うアテもないので、判定基準に則すると即「捨てる」にあたるのだが、、、なぜか悩む。やっぱり、一番上等なジャケットをかけることにする。
  
 極めつけは、松田道雄医師著(暮らしの手帳社)のこの本。
 あとがきは昭和39年10月に書かれていて、この本は昭和41年6月に版されている。わたくしが生まれる前の年。
 ウチの母はおおよそ育児書なんてものは読まないタイプの人だと思っていたが、若干24歳で生む第一子、おまけに両祖父母ともにとっての初孫となると、まぁ読んどこかってな殊勝な気になったのだろうか。
 内容は若いお母さんからの悩み相談の手紙に松田先生が返事を書くという形式で、わたくしにとっては妙に笑えて、安心できる回答文。ところどころ爆笑箇所もあり。ナーバスになっているお母さんも肩の力が抜けるだろうな。わたくしがこの先、我が子を育てる可能性は限りなく低いが、この本は悩むまでもなく、ひつじ館文庫に入れる、と。