京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

 黒谷さんへの道

 長年「黒谷さん」と呼んできたので、その寺の本名が「『きんかいこうみょうじ(金戒光明寺)』か『こんかいきんみょうじ(金戒金明寺)』なんか、ようわからんねんけど、どっちやった?」とかいう会話を、先日家族としていたところ、つい先ほど夷川の疎水で「きんかいこうみょうじは、どこですか?」と観光らしき母娘連れに尋ねられた。図らずも予習をしていたので、自信をもって応えられた。この有り難きシンクロ。
 それにしても、岡崎神社のすぐ左側の薄暗〜い細い地道を上がって行った、黒谷さんの南門付近は、近年すっかり整備されてピカピカの墓などが並び、まぶしいほどだ。以前は空家となって放置された文化住宅(最古のタイプの木造アパート)が二棟ほどあり、その周辺の広大な空き地も全く手入れがされないままで、お骨が転がっていても全然事件性を感じないような、おどろおどろしい場所であった。さすがにそこへ立ち入るまではしなかったが、それらを眺めながら沸き起こってくる胸の高鳴りを鎮めつつ、すぐ脇の小道を歩くのが妙に快感だった。いったい、何のフェチ?オタク?やねん、わたし。
 このような背景があるので、その母娘連れには南門からの道は伏せておいた。しかしいずれにしても残念無念である。