京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

さらに、アルバイト追懐

 他に20数年前の学生時代に経験したアルバイトで特筆すべきは、ブラの試着。世界に誇る京都の下着メーカー、ワコール本社の一室に大勢の女性が集められ、何枚ものブラジャーの試作品を次々と試着し、その一枚一枚についてアンケートに答えるのだ。設問は例えば「1.あなたは今つけているブラジャーが好きですか−とても好き わりと好き ふつう あまり好きではない 嫌い― いずれかに○をつけてください」とか「2.今つけているブラジャーはバストが豊かに見えますか― とても豊かに見える まぁ豊かに見える ふつう あまり豊かに見えない 豊かに見えない」などが数十問だか並んでいて、全くの主観で答えていく。ブラ姿のままで。答え終わるとワコールの係りの人が「じゃ、次はこれをつけてください」と渡してくれる。
 ただのアンケートといえども、始めのうちは結構考え込んだりしてしまうのだが、回数を重ねてブラの数をこなすうちに、だんだんとパッと一目見ただけで自分の好きなタイプや、つけ心地の良いブラかどうかが判るようになる。そのくらい慣れてくると、もうわざわざ半裸になってブラをつけ替えなくとアンケートに答えてみせる、という自信が湧いてくるのだが、そうなるともう交代(バイト終了)の時期を迎える。
 ちなみにこのバイトは学相(学生相談所)ではなくて、新聞の折り込み広告で募集していた。応募条件に「アンダーバスト**センチ」というかなり限定された、特殊な細身であることが求められていたので、当時のわたくしでも採用され勤まったのだ。それにごく一般的な日常生活を送る際に使用するブラ対象で、決して奇抜な使い方をするとか、特殊な趣味の愛好家用とか観賞用のブラではなかったので、すぐに仕事に慣れることができた。
 最後には研究用に当時の体型をデータに録られたので、「25年後の体型の変化を録らせてください」と、近々またバイトの要請がきたらどうしよう。どんだけ垂れ下がっているかを思うと個人的にはあまり乗り気にならないが、研究用としては、生(なま)の貴重なデータやと思うから、受けようと思う。