京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

入国管理局を尋ねて

 
 本日の葉っぱの様子。雨に洗われて美しい。


 紅葉シーズンが来て、また色んな道(場所)、きかれるな〜と密かに準備に余念がなかったのだが、ごく最近尋ねられたのは意外にも「入国管理局」だった。ここは、事務所からほんの数十メートル東にあって毎日ゴン太と通っているにもかかわらず、このビルにはてっきり税関だけしか入っていないと思っていたので、盲点をつかれた。悔しいけど、わからへん・・・。しかし幸い尋ねられたのが川端警察署の前だったので、警察の受付で教えてもらって、管理局まで同行した。
 なぜそこまで世話をやくのかというと、尋ねてきたこの自転車に乗った中国人の女性(わたくしより若い感じ)の、ど厚かましさに押されたというか、無鉄砲さにあきれたというか、まぁ昼休みで時間もあったし、どうせ帰るところやし、成り行き上致し方なかったのである。
 どれほどの厚かましさと無鉄砲さかというと、まずいきなり「エンピィ」とだけ言い放ち、書くしぐさをして、<鉛筆と紙を貸せ>とぐいぐい迫ってくる。そしてわたくしが差し出した紙に「入国管理局」とだけ書き捨て、ぶすーっとした顔をしている。「地図は?」と尋ねても首をひねるし、「マップ!」と言っても眉間に皺を寄せるし、「地図」と書いてやると、<持って無いねん!>というしぐさをする。愛想もくそもない。「警察」とか「近い」とか「どこから来た?」の日本語の単語もぜーんぜんわからないし、「マップ」とか「ポリス」とか「レッツ、ゴー」の英単語さえも知らない様子。一瞬、わたくしの発音が良すぎたのかと反省して言い直してみると、「ワタシ、チュゴクジン」と分かり切っている自己主張だけはする。これにはちょっと笑ったが、まぁとにかく、なんにも持たずになんにも知らないで、行ったとこ勝負に出ていたらしい。
 最終的には、お互いの必死さだけは伝わり合ったようで、入国管理局の前で彼女は「アリガト」とつぶやき、ホッと一安心したように眉毛を下げて小さな笑顔を見せた。どうやらそれまでの無愛想さは、不安と緊張からくるものだったらしい。