京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

ロジェ記

 先週のある朝も、ゴン太は友だちの超大型犬、ロジェが乗っている赤いワゴン車をみつけて駆け寄った。荷台の匂いを嗅いでいると、ロジェの飼い主のおじさんが運転席から降りて来て、後ろの扉を開けてくれる。でもその日はロジェの姿はなく、おじさんが「ロジェな、死んでしもたんや」と悲しそうに知らせてくれた。ゴン太はそれを理解するわけもなく、いつものように荷台に飛び乗り、ロジェを探している。ロジェの匂いはするのに姿が無く、探しまわってキュウキュウないている。わたくしはあまりに思いがけないことで声も出なかった。つい二週間位前もいつものようにおじさん夫婦の通院について来て、ゴン太を荷台に上げて遊び相手をしてくれていたのだ。なんだか狐につままれたような、信じ難い事だった。
 ロジェはホッキョクグマの小熊ほどもある超大型犬で、四肢も極太。でも気性はとても穏やかで、ゴン太が子どもの頃に、ロジェの首根っこに甘噛みして飛びついても微動だにせず、好きなように遊ばせてくれた。ゴン太はそんなロジェのことが大大大好きで、病院の前の道を通る時はいつもロジェが乗っているらしき車を探している。ロジェ、いつも穏やかに遊んでくれてありがとう、ね。気は優しくて力持ちのロジェに、もう一度会いたいなぁ。