京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

缶詰と棺桶


 例の26階の部屋からの、日の出。見た目には美しい。だが強化ガラス一枚隔てると、太陽が放つエネルギー、気温や風の変化が感じられない。なんだか虚しく、薄ら寒い。過去に何度かご来光を体感しているだけに、その差は歴然としている。

 気を取り直して、岸壁の遊歩道で海に向かって、朝の数分間だけ笛を吹く。プラスチック管やけど。ほんのかすかに潮の香りがする。知らぬ間に詰めて浅くなっていた息が、少しずつ深くなっていく。しかしまた昼間は会議場に缶詰になるのである。会議場は超広い空間だが、なぜか呼吸がしにくい。酸素が薄い。考えてみるに、広い缶詰より狭い棺桶のほうが、わたくしのようなコンパクトサイズには合っているのかもしれない。確かに、キングサイズのベッドではろくに眠れないが、棺桶の中ならぐっすり眠れそうな気がする。棺桶は木製やし。支離滅裂や。あー眠たい。