京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

「先覚に聴く」

  京都芸術センターの大広間で、90歳の人間国宝、お二方のお話を聴く。文楽竹本住大夫さんとお箏の米川文子さん。「最近の弟子は、深呼吸一つようしまへんな。そんなもん学校で教せてもうてから稽古に来い、て言いまんねんけど。」など、耳の痛い話が多かった。確かに稽古事を始めるとまず自分が如何に立つ、歩く、呼吸をするなどの基本的な動作が満足にできていないかに気づいて愕然とするのだ。身体の使い方が、健康で長生きできるかどうかを決めるといっても過言ではない、と90歳のお二人の姿を見て、声を聴いて、話の内容からも思ったことだ。

 京都芸術センターは旧明倫小学校で、至る所が昔の校舎のまま。玄関先を飾るステンドグラスも素敵。こうして子供の時から地域ぐるみで文化的な日常生活を送っていた時代が、確かにあったのだ。ほんの何十年か前まで。