『あわいの力−「心の時代」の次を生きる』安田登著
ここにきて、遡ること30年前の進学の頃以来、漠然と興味を抱いていた諸々の物事に遭遇し続けている。それは確かに「心」と「身体」に関する事である。能楽師である著者は、650年以上続いている能楽を元に、身体についてのみならず、日本語や音楽と数学、文学、芸能、宗教、学校、教育、稽古、心構え、身体感覚、呼吸など様々な分野とそれらの「あわい」(媒介・あいだ)等について著している。日本の笛吹きとしては、西洋音楽のリズムに対する日本音楽の拍子の、「未来」を刻むか「今」を刻むかの違いなど、目から鱗の解説でスキッとした。読み終えて、あらためて650年も前とはいえないが、日本の昔風な環境に生まれて成長し、身体感覚によって物事を選択することで今日まで生存してきたんやなぁ、ギリギリセーフ、有り難しと思った。能楽だけに、読むだけでも身もこころも楽になること請け合い。拍子が刻む、わたくしの「身」も「心(しん)」も「今」が重なって、あるだけだ。
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