京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

 「必要ないもん」

 笛の発表会が近づいてきたので、クラスメイトと一緒に練習する機会が増えてきた。ほとんどの人たちが「人前で一人で演奏するのって、き、緊張する〜」と震えている。もちろんわたくしも膝が震える〜。手が震える〜。
 そんな中、一番若い20代後半の女性のクラスメイトは「わたし、緊張しません」と衝撃の発言をする。「えー?ほんま?ええなぁ」とうらやましがると「だって、緊張する必要ないもん」とズバリ言い放つ。
 そう言えば、わたくしも若い頃はこうだった。関係者からは「淡白」「ケロリ」「ドライ」「物怖じしない」「心臓にうぶ毛が生えている」などという異名をとっていたし、実際、不安や恐怖や緊張や苦労に悩んだり悲しんだりした覚えがない。
 それがいつのまに、気弱を装うようになってしまったのだろう?ええ格好をするようになってしまったのだろう?失敗を恐れるようになってしまったのだろう?自分で自分の不安を煽るような、メンドーくさいことをするようになってしまったのだろう?繊細なフリをするようになってしまったのだろう?
 「必要ないもん」の一言で、ポンと肩をたたかれて、ハッと我に返ったような気がした。そうや、緊張するなんて、時間のムダ使いだ。そんなことを考えているヒマがあったら、練習することだ。若者に学んだ事の一つ。サンキュウ。また一緒に練習しよな。