京都こみち日記

こみちを歩く こみちに迷う 日々のこと

病み上がりの快感

 病み上がりはまさしく泥のように眠れるので、心身とも快感度がアップする。一方、風邪引きの最中は、眠ろうにも眠れない。横になって身体を休めようとはするが、ぐっすり眠り込むことができない。特に発熱中は、脳内だけが妙に活性化していて、同じ映像(夢、かな?)が頭の中をグルグル巡る。例えば、延々しょうもない文書のコピーをとり続けるとか答えの出ない計算をひたすら繰り返すとか暗譜中のメロディが耳について離れない、など。また、身体のどこかに鈍痛がある場合は、一瞬眠りはするものの夜中にふと目がさめるとまたその鈍痛がじわーっと襲い掛かってくる。これらの状態を抱えては身体は眠ったと感じてくれないが、いざ熱が下り、緊張が緩んで痛みが引いて通常の状態に近づくと、病中が睡眠不足だっただけに、深い土中の棺桶の中に入ったかのようにぐっすりと眠れる。そして、スッキリ目覚めることができる。この過程を経ることで、心身ともに細胞が生まれ変わったような快感が得られるというのが、風邪を引く事の効用である。
風邪の効用 (ちくま文庫)であるからして、鎮痛薬を飲むのは、痛みの無い状態でぐっすり眠って身体を休めるためであって、決して、痛み(身体の悲鳴)を感じなくして自身を酷使し続けるためでは無い。薬の使い方を間違えてはならないし、鎮痛薬で痛みが消えても「治った」ということにはならないのである。